Archive:Wikimedia Quarto/1/Ja-5
<a href="/wiki/Wikimedia_Quarto/1/Ja-1" title="はじめに"><img src="/upload/thumb/9/93/40px-Welcome.png" alt="はじめに" /></a>
|
<a href="/wiki/Wikimedia_Quarto/1/Ja-2" title="創設者より"><img src="/upload/thumb/f/f9/40px-Founder.png" alt="創設者より" /></a>
|
<a href="/wiki/Wikimedia_Quarto/1/Ja-3" title="報告"><img src="/upload/thumb/4/45/40px-Reports.png" alt="報告" /></a>
|
<a href="/wiki/Wikimedia_Quarto/1/Ja-4" title="プロジェクト"><img src="/upload/thumb/8/8c/40px-Projects.png" alt="プロジェクト" /></a>
|
<a href="/wiki/Wikimedia_Quarto/1/Ja-5" title="インタビュー"><img src="/upload/thumb/e/e5/40px-Interview2.png" alt="インタビュー" /></a>
|
<a href="/wiki/Wikimedia_Quarto/1/Ja-6" title="メディア"><img src="/upload/thumb/c/c7/40px-Press2.png" alt="メディア" /></a>
|
<a href="/wiki/Wikimedia_Quarto/1/Ja-7" title="国際"><img src="/upload/thumb/d/da/40px-International2.png" alt="国際" /></a>
|
<a href="/wiki/Wikimedia_Quarto/1/Ja-8" title="あとがき"><img src="/upload/thumb/7/7e/40px-Endnotes2.png" alt="あとがき" /></a>
|
Quarto 編集部は、ウィキの発明者でありエクストリーム・プログラムングの創始者のひとりであるウォード・カニンガム氏(以下WC)に時間を割いて頂くことができました。最近イリノイで行われたプログラム・パターン言語学会の疲れを癒している最中のカニンガム氏から、ソーダを飲みながら、カニンガム氏の頭の中にあるウィキの進化、著作権、ウィキペディアのコミュニティについての考えを伺いました。そのあとカニンガム氏は普段出入りしている #wikipedia に顔を出し、みなに喝采を受けました。
Wiki Way 編集部: ウィキは編集に関するあらゆることを容易にしました。まだ残っている編集への障害はなんでしょう。どのようにウィキを発展させたいですか。 WC: ウィキで執筆するときにまだ残っている問題というと、WYSIWYG (見たとおりののまま)形式の編集ができないことかな。中にはウィキでの作業がうまくいっているのは、この奇妙な編集形式を乗り越えた人でないと参加できないからだ、という人もいる。でも小さなテキストボックスにあらゆるページを打ち込むことを考えれば、やはり WYSIWYG で編集できないのは酷な話だ。ちなみに、万一[WYSIWYG エディタ]がみんなの思うように機能しなかったなら、僕は満足していないだろうね。 編:『Wiki Way』の中でコンテンツの編集やリファクタリングに対して徹底して柔軟であることが重要だと提言されています。古い投稿内容を残して、解りやすい要約を加えていくに留める余地もあるのではないでしょうか。 WC: 僕が運営しているウィキでは、限界までそのことを追求してきた。僕は極力編集可能にして、履歴は取らなかった。だから「削除」は本当に削除だし、削除ボタンを使うときにはそのことを考えないといけない。その試みが受け入れてられて、その方法でやっていけるんだとみんなが気づいてくれるのは嬉しいね。そのウィキにいる人たちは、「こういう極端なやり方には良いところも悪いところもあるね」と言えるだろう。僕はウィキの極端なあり方をやわらげるのはいいことだと思う。でも新しいルールを作ると、いつだって、新しいボランティアが投稿することが難しくなってしまう。
編: 会話ページと本文を分けることについてどう思われますか。 WC: とっても良いと思う。すばらしいよ。ウィキペディアは自分は執筆者ではないと思っている利用者や、メタな議論に興味がない人にとって価値があると思う。会話ページなくしてウィキペディアはなりたたないんじゃないかな。 編: 単一のウィキ内に多くの言語があることについてはどうですか? WC: うん、僕はとても良いアイデアだと思うね。ページを読むときに、それに関する微妙な問題を知ることができる。重要で微妙な問題にまっすぐ取り組めるのは、ウィキのいいところのひとつだね。複数の言語文化に足を突っ込んでいる人がいれば、言語間でのとても微妙な考えについてコミュニケートすることができるし、全世界的な視点を得ることができるでだろう。 編: では……ウィキペディアはウィキと言ってよいのでしょうか。 WC: もちろん。ウィキペディアのおかげで僕のところも大いに評判を高めてる。僕はいつもみんなに、僕のウィキはウィキペディアじゃない、ウィキペディアには沢山の革新があるんだ、と言ってるよ。僕はウィキペディアコミュニティがやってきたことを誇りに思うよ。本当にすごいことだ。 マイクロソフト 編: マイクロソフトで働いていらっしゃるわけですが、そのことについてあなた自身どのように感じているのか、知りたい人がいるようです。 WC: 自分のウィキに書いた通りだね「マイクロソフトに関わっているけど、いままで通りのウォードだし、今後もそうだ」。そしてマイクロソフトもマイクロソフトであり続けるだろうね。 編: あなたがマイクロソフトにいくらか影響力を持ってほしいと思っている人もいるようですよ。 WC: そうだねえ、マイクロソフトが僕を引き入れた意図は、僕がそうした人に対して何らかの影響を及ぼすことなんじゃないかな。
|
永続性と著作権 編: ウィキをコラボレーションのために使わないときには、他に何を使いますか。 WC: 僕はまあ結構な数のウィキを使っている。他に毎日使うものといえば Eメールだけだ……。急用について、いまこのとき目を向けさせることができるからね。もし何か特定の事柄についての、すぐ済む要件であれば、僕はメールを送る。もし時間に関係なく何かについて話したいなら、ウィキに書いてからどこにあるかをメールで知らせる。 編: (わかります。私たちもそうです) WC: 実に興味深いと思ったこと、また見たときに嬉しかったのは、ウィキペディアがパブリックライセンスの元に発行されていることだ。百年後に「正しい」オンライン百科事典というものがどんなものになるのか予見できるだろうか。選択肢が50もあれば、まあ上出来といったところだろう。これを可能にしたのは素晴らしいことだと思う。僕らはまだ、この道程に乗り出したばかりだ。この「全地球的なコラボレーション」をいくつか体験した先に、どんな風になるのか、想像して欲しい。
ウィキペディア 編: 最近ウィキペディアを編集したことはありますか。またウィキペディアについてどう思いますか。 WC: 何かを調べなくてはいけないときにウィキペディアを読むよ。ほとんど毎週かな。けれど自分ではあまり編集しない。誰かが現代的な百科事典を教えてくれって聞いてきたら、僕はウィキペディアを勧めると思う。いまやウィキペディアが百科事典とは何かを示しているんだ……。 編: 実際には、私たちがやっていることはその反対なんです。ウィキペディアの基本ルールのひとつは「独自の研究を投稿しない」ということですから。 WC: それは、ウィキペディアを論争の渦から遠ざけておくための基本だからかな。僕は実際に起きたことを話してもらいたいんだ。いつもね。誰でも、その人自身の経験が基礎になっているから。コミュニティは何かに基礎をおかなきゃならない。さもなければ絶え間ない思い込みの渦巻きに終わってしまうからね。 編: ウィキを作ったごく最初の時期、いつかウィキを使った百科事典が作られるかもしれないと考えたことはありますか? WC: 実際のところ、僕はコミュニティで使う新出用語の単語帳のようなものなら考えていた。コミュニティには辞書が必要だというのが、最初のウィキを思いつくきっかけになったんだ。でもウィキペディアが取り扱う範囲は、僕のウィキが扱っている範囲よりずっと広い。当時、僕は意見がわれやすい話題というものがあることに気が付いた。僕はそういうことについては書かないように勧めた。なぜなら、合意にいたろうとしないと、いたることもないし、そうするとフォーラムが脆弱になってしまうと考えたからだ。
編: ウィキが今日のように大きく成長すると予想していましたか。 WC: 僕は失敗するものもいくつかはあるだろうと考えていたんだ。でもコミュニティが自分たちの回りで解決する方法を見つけたことには驚いていない。当時僕が考えていたのは、重要なのは、組織の仕方が間違っていることが分かったとき、人々が自分たちの仕方でそれを再び組織すること、組織化が起こりうるということが重要だということだ。 編: 他に巨大なウィキでのプロジェクト、たとえば書評や報道などは何故ないんでしょうか。 WC: たぶんこういうことは数年おきごとに起きることなんだろう。たぶん、どのように社会プロセスとその中での価値が機能するかを知っている人の集団、こうした集団だけがウィキペディアのように速く成長できるのだと思う。そういうときは誰かがコミュニティを形成するエネルギーをもっていないといけない。それが社会システムを支えることになるんだ。そしてたぶんこうしたコミュニティが形成されると、「ねえ、これは随分うまく行ってるよね。僕にちょっと儲けさせてくれ」といい出す人が出て、人々は少しばかりよからぬことを考えるようになるんだろう。 編: ウィキペディア関連のコミュニティがこれほどたくさんあるのはどうしてなのだろうと、考えることはありますか。 WC: ウィキペディアがある種の飛び込み参加を促していて、君たちが自分たちで何かをやってきたということ、こうしたことは、ある意味で百科事典を作り上げるということに増して偉大な目標なんだ。プロセスを回転させればするほど、よりコミュニティが活気を帯びて活動することになる。 編: お話しいただきありがとうございました。なにか最後に仰ることはありますか。 WC: たんにウィキペディアのページ数を増やすことではなくて、ウィキペディアというアイディアが世界中に広がっていることについて書いて欲しいね。そしてニュースレターと財団を使って、こうしたアイディアを見守りながら広め、文化の観点から理想的な努力を推し進めていってください。 --[WQ]
|
<< | 5 | >> |